環境要因が重要
サプリメントの講義でも、免疫上げるためにどんなサプリメントがいいのかという話でも、結局はサプリメントよりも睡眠が重要と言われています。
サプリメントから食事、食事からライフスタイル改善にだんだん話が移ってきているんだなと感じています。
結局、どんなデトックスサプリを使うかとか、どんな薬を使うかよりもどういうデトックス環境を整えるかという話に最終的になってきています。
今回は根本原因とデトックスについてお話しますが、環境要因が重要ということを前提としてお話します。

上の図は「根本原因ピラミッド」です。
下から2段目のデトックスは様々な影響を受けます。
例えば、低血糖で自律神経の緊張があるとデトックス効率が大幅に低下します。
また、炎症があると胆汁分泌が低下し、ミトコンドリア機能が低下し、そもそも抗酸化力が抑制されるのでデトックス効率が大幅に低下します。
炎症ということは白血球が働きますが、白血球は活性酸素を使ってバイ菌をやっつけますので活性酸素がいっぱい出て抗酸化力が落ちるということです。
有機水銀についても8割は便排泄で、解毒にはATPがたくさんいりますので、デトックスは様々な影響を受けやすいということなんです。
デトックスする前に他の環境を整えようということです。
今回の内容は以下の3つです。
- 何を解毒するべきなのか
- 何がどのくらい溜まっているかをどうやって知るのか
- どうやって解毒するべきなのか
1.何を解毒するべきなのか
様々なことに障害を起こすことがよくありませんので、以下の2つはデトックスする必要があります。
- 脳に蓄積し、障害を引き起こしやすいもの(水銀、ヒ素、カビ毒)
- ミトコンドリアを障害するもの(水銀、ヒ素)
脳に蓄積し、障害を引き起こしやすいもの
特にデトックスしにくいものは脳に溜まります。
油の中に入り込んで安定化しているものがデトックスしにくいので積極的に介入する必要があるだろうと思います。
脳に蓄積し、障害を引き起こしやすいものといえば水銀とかカビ毒でした。

アンドリュー・カトラーの著書『Amalgam Illness』には、アマルガム(水銀)が自閉症、発達障害、慢性疲労、線維筋痛症や化学物質過敏症など精神疾患の原因だと明記されています。
デール・ブレデセンの著書『アルツハイマー病 真実と終焉』では水銀とカビ毒をアルツハイマーのⅢ型の一因としています。
なぜ水銀とカビ毒が脳に蓄積するかというと、脂溶性だからです。脂溶性で BBB(脳血液関門) を通過しやすいものが中に入り込んで脳に溜まるという話です。
水銀、ヒ素はミトコンドリアを障害する

上の図は、クエン酸、シスアコニチン酸、イソクエン酸などの量がわかる検査ですが、TCA サイクルが回っていく時にそれぞれ何が疎外するかということが書いてあります。フッ素、水銀、ヒ素、アンチモン、そしてアルミニウムなどと書いてあります。
その中でも水銀とヒ素が特に悪いと思います。
ミトコンドリアの機能を障害し、TCA サイクルを止めてしまいます。

TCAサイクルだけではありません。
これは電子伝達系の図です。電子伝達系の特に複合体Ⅰです。
複合体ⅠというのはNADHが関わっていますが、この細胞の膜のところにSH基があり、SH基とS基の間に水銀が入り込んでタンパク質の構造を変化させてしまうということが書いてあります。
水銀はTCAサイクルも電子伝達系も止めてしまうのです。

それをみる検査は有機酸検査でした。
有機酸検査で29番のクエン酸と28番のアコニチン酸を比べます。
クエン酸がアコニチン酸に変わるのにはアコニターゼという酵素が必要なのですが、このアコニターゼが水銀やヒ素で疎外されます。
アコニチン酸とクエン酸があって、クエン酸に比べてアコニチン酸が低くなり数字に差がある場合、アコニターゼを水銀が疎外していると考えて水銀のデットクスが必要かもしれません。
水銀について

水銀というのは硫黄と親和性が非常に高いです。
硫黄と硫黄の間にSS結合というのがあり、その間に水銀が入り込みたんぱく質の構造全体が狂ってしまうのが問題です。
水銀は硫黄に親和性が高いので、それを逆に利用すれば、硫黄をたくさん含んだ食事や硫黄を含んだサプリメントを利用し、水銀をくっつけることによって解毒することができるようになります。

ハル・ハギンズの著書「本当に怖い歯の詰め物」によると、説明のつかない疲労感が症状のうちの一番高いものなのです。
疲労感というのはミトコンドリア機能障害です。
もちろんイライラもうつもしびれもありますが、一番よくある症状は疲労感です。ミトコンドリア機能の低下からきているんだろうと考えられます。
ヘムの合成過程は
水銀によって妨害される

水銀がはまり込むと疲れる原因は他にもあります。
これは尿中のポルフィリン検査と言います。
ヘモグロビンが合成される過程でいくつかのポルフィリン経路を経由しますが、そのポルフィリン経路を水銀や鉛やカドミウムが止めてしまいます。
例えば、水銀が溜まって反応が止まってしまうと、コプロポルフィリンとかプレコプロポルフィリンが増えるということになります。
つまり、水銀はヘムの合成を阻害します。ヘムの合成を疎外すると結局貧血になり、これも息切れの原因となります。

これはヘモグロビンの構造です。
ヘモグロビンは一つの分子につき酸素を4つくっつけることができます。
酸素は離れたりくっついたりするので、肺でくっついて末梢の臓器で離して酸素が循環します。
鉄が酸素をくっつけるんですが、鉄と酸素の親和性よりも鉄と水銀の親和性の方が強いので、一旦そこに水銀がくっつくとなかなか離れないのです。
ヘモグロビンに一回水銀がくっついてしまうと、そこは使い物にならなくなってしまいますから、赤血球の寿命が120日なのでその120日の間は水銀がくっついた赤血球ということになります。
別にヘモグロビン自体が少ないわけではないので見た目上は貧血ではない、むしろ酸素飽和度が低下しますから体はもう少し酸素が必要だと思って造血を行います。造血を行う結果、ヘモグロビンの数値が多くなるというのが水銀中毒の人の普通のデータです。
だからヘモグロビンの数値でははっきり分からなくて、実際には酸素飽和度を見ないと分からないのです。

これは、ハル・ハギンズ博士のデータですが、アマルガム除去すると実際には酸素飽和度は上昇します。
というわけで、水銀は様々なことで貧血を起こし、ミトコンドリア機能も障害するために、ものすごく疲れがでます。