- 環境要因の重要性
- デトックスは様々な影響を受ける
- デトックスすべきもの
- 何をデトックスすべきか
- ミトコンドリア機能を障害するもの
- 水銀と硫黄の関係
- アマルガムとミトコンドリア
- 水銀と貧血
1.環境要因の重要性

まず、重要なのは環境要因なんですね。
コロナの影響で2~3カ月間、空手が休みだったので、この間久しぶりに道場に行ったんですけども、ちゃんと散歩してたらあんまり息切れしなかったんですね。
空手を再開したときに息切れしないためには、ミトコンドリア機能を上げるのが一番良いと思って、水素サプリとか色々試したんですけども、一番良かったのはやっぱり普段から走ったり歩いたりすることなんです。
昨日聞いたサプリメントの講義で、免疫を上げるためにどんなサプリがいいのか?という話でも、結局は睡眠が重要という話でした。
これは考え方がサプリから食事、食事からライフスタイル改善に段々移ってきているということですね。
それは環境要因が非常に重要だという事です。
2.デトックスは様々な影響を受ける

結局、どんなデトックスサプリや薬を使うかより、どういうデトックス環境を整えるか、という話の方が重要なんです。
それを前提として考えてください。
デトックスはこのスライドのピラミッドの位置にあるんですが、このピラミッドの図のようにデトックスは色んなものの影響を受けるんです。
例えば、低血糖があると自律神経の緊張が起こって、デトックス効率は大幅に低下する。
他には、炎症があると胆汁分泌が低下するし、ミトコンドリア機能が低下するし、炎症によって抗酸化力が抑制されるから、そうするとデトックス効率は大幅に減ります。
炎症でなぜ抗酸化力が抑制されるかというと、炎症というのは白血球が活性酸素を使ってばい菌をやつけるんです。そうすると活性酸素がいっぱい出るので、抗酸化力が落ちてしまうんですね。それによってデトックス効率が低下してしまいます。
また、有機水銀の8割は便排泄ですし、解毒にはATPが大量に必要なんです。
つまり、デトックスは様々なものの影響を受けやすいんだって事です。
だから、デトックスする前に他の環境を整える必要性があるんです。
それを前提として今回のお話をしていきます。
今回は、
「何を解毒すべきなのか?」
「何がどのくらい溜まっているのかをどうやって知るのか?」
「どうやって解毒すべきか?」
この3つをお話していきます。
3.デトックスすべきもの

何をデトックスすべきなのか?ということですけど、
脳に溜まったものはデトックスしにくいんです。なぜかというと、脂の中に入り込んで安定化してしまうのでデトックスしにくいんです。
そこは積極的に介入する必要があります。
脳に蓄積して障害を起こしやすいものと、ミトコンドリア機能を障害するものは特にデトックスしたほうがいいです。
4.何をデトックスすべきか

脳に蓄積して障害を引き起こしやすいものとしては、水銀とカビ毒です。
アンドリュー・カトラー博士が執筆した『アマルガムイルネス』には、
「アマルガムが自閉症、発達障害、慢性疲労、線維筋痛症、化学物質過敏症、精神疾患の原因になる」と明記されていますし、
デール・プレデセン博士の『アルツハイマー病 真実と終焉』では、「水銀とカビ毒がアルツハイマー病のⅢ型の原因だ」と書いています。
なんで水銀とカビ毒が脳に蓄積するかというと脂溶性だからです。
脂溶性でBBB(脳血液関門)を通過するので、脳内に入り込んで脂質に溜まって安定化してしまうんです。
5.ミトコンドリア機能を障害するもの

次は、ミトコンドリア機能を障害するものです。
左図はTCAサイクルが回っていくときに、それぞれなにが阻害しているか書いてあるんですけども、「フッ素、水銀、ヒ素、アンチモン、アルミニウム」って書いてありますね。
これらがTCAサイクルを阻害してしまうんです。
そのなかで水銀とヒ素が特に悪いと思います。
しかも、TCAサイクルだけではありません。
右上の図の電子伝達系の特に複合体の一番にも関与してきます。
複合体の一番っていう所はNADHが関わってくるところなんですけども、この細胞の膜のところにSH基(硫黄)があります。
この図はSH基とS基の間に水銀が入り込んで、タンパク質の構造を変化させてしまう。っていうことを説明しているんです。
つまり、水銀はTCAサイクルも電子伝達系も止めてしまうということなんです。
TCAサイクルが回っているかを見る検査は例えば有機酸検査でしたよね。有機酸検査で29番のクエン酸、28番のアコニチン酸を比べるんでした。
クエン酸がアコニチン酸に代わるのには、アコニターゼっていう酵素が必要なんですけども、このアコニターゼが水銀とかヒ素とかで障害されるので、例えば、イソクエン酸と比べてアコニチン酸が低くなっている。イソクエン酸の数字とアコニチン酸の数字に差がある場合には、アコニターゼを水銀が阻害していると考えて、水銀のデトックスが必要だと判断するんです。
6.水銀と硫黄の関係

水銀というのは硫黄と親和性が高いです。
硫黄と硫黄との間にSS結合というのがあるんですけども、このSS結合の間に硫黄が入り込んじゃうんです。そうすることによって、タンパク質の構造全体が狂ってしまうんです。
これが問題なわけです。
ただ、水銀は硫黄と親和性が高いから、それを逆に利用すれば、硫黄をいっぱい含んだ食事とか、硫黄を含んだサプリメントを使うと、水銀をくっつけることによって、解毒することが出来るようになります。
7.アマルガムとミトコンドリア

水銀中毒でよくある症状。
これは、ハル・ハギンス博士の執筆した『本当に怖い歯の詰め物』から取ってきているんですけども、症状の中で「説明のつかない疲労感」が一番高いんですね。
この疲労感はなぜ起こるかというと、ミトコンドリア機能障害なんです。
もちろん、イライラも、うつも、しびれもあるんですけども、一番良くある症状というのは疲労感です。
アマルガムに含まれる水銀がミトコンドリア機能の低下を引き起こし、説明のつかない疲労感が起こるんです。
8.水銀と貧血

水銀がはまり込むと疲れる原因は他にもあります。
ヘムの合成過程は水銀によって妨害されるんです。
この検査は尿中ポルフィリン検査と言います。
左図のようにヘモグロビンが合成される過程で、いくつかのポルフィリンを経由するんですけども、そのポルフィリンの経路を水銀とか鉛とかカドミウムが止めてしまうんです。
例えば、水銀が溜まってると、コプロポロフィリンの前後で反応が止まってしまいますので、コプロポロフィリンとか、プレコプロポロフィリンが増えるんです。
つまり、水銀はヘムの合成を阻害してしまうんです。そして、それは貧血を引き起こします。
また、右上図はヘモグロビンの構造なんですけど、ヘモグロビンは一つの分子につき酸素を4つくっつけることが出来るんですね。
それで鉄が酸素をくっつけるんですけど、鉄と酸素の親和性よりも鉄と水銀の親和性のほうが強いもんですから、いったんそこに水銀がくっつくとなかなか離れないんです。
酸素っていうのは離れたりくっついたりするんで、肺でくっついて抹消の臓器で離れることで酸素が循環するんですけども、ヘモグロビンに一回水銀がくっついてしまうと、もうそこは使い物にならなくなってしまいます。
赤血球の寿命が120日なので、120日の間は水銀がくっついた赤血球ってことになります。
実際にこれが起こっても別にヘモグロビン自体が少ないわけではないので、見た目上は貧血ではないんです。むしろ酸素飽和度が低下しますから、体はもう少し酸素が必要だと思って造血を行います。
造血を行う結果、ヘモグロビンの数字が多くなるというのが水銀中毒の人の普通のデータです。
だからヘモグロビンでははっきり分からなくて、実際には酸素飽和度を診ないと分からないんです。
右下図はハル・ハギンス博士のデータなんですけど、アマルガム除去をすると酸素飽和度が上昇しているのを示しています。